小林新樹

今にして思えば、フランス語通訳になるなど夢にも思わぬ頃から、そちらへそちらへと舵を切って来たようなものです。

 
中高生の頃は数学が好きで、数学者を夢見て進学。
しかし第二外国語に選んだフランス語の魅力に取り憑かれ、某大学で数学教師の職を得た後も、推理小説『メグレ警部』シリーズを読んだり、必要も無いのに会話の個人レッスンを受けたり… フランスに留学したのも、習い覚えた言葉をどうしても現地で使ってみたかった、というのが偽らざるところ。

 
しかも、滞在中に自由の風に吹かれたせいか、日本に戻って以来、研究三昧と言うには程遠い数学で一生を終えるのが、日に日に忍び難くなりました。
そんな中、惚れた女性に「フランス語に転身したら付き合って上げる」と言われて (ウソ)、何の迷いも無く数学におさらばしたのが、偶然にも不惑の年。
それからフランス語研鑽のため再び留学。

 
さて、通訳になってみて初めて気付きました:自分は研究者として一つの分野を極めるよりも、日仏両語で物事を広く浅く知る方が、性に合っていると。

 と言うのも、語学だけでは通訳業務はこなせないのです。ビジネスにせよ技術の話にせよ日常会話で済むわけはなく、日仏双方の発言が曲りなりにも理解できないと、まともに訳せません。
そこで仕事が入るとその分野の入門書を読むのですが、その度に、世の中にはこんな世界があるのかと新鮮な驚きを感じて、刺激に満ちた30年間を過ごしました。

 
現在はその経験を生かして、Le Monde の経済記事の精読授業に専念。

 
教材を準備する傍ら、拙いブログを綴っております:▶「あてもなき 夢想に耽らぬ 人やある」

 
どの記事もお勧めだけど (笑)、特に次の3つの Category は如何?

 
▶「夢と記憶喪失と脳科学」
▶「早期英語教育の問題点」
▶「哀愁の調べ わが心を慰む」